裏庭からスピカ

基本は雑記、ときどき小説の話……をしたい。

桃色季節到来告げて

EROな記事かと思った方には大変申し訳ない。5月、それはジロ・デ・イタリアの季節。ロードレース界において三大グランツールのひとつに数えられるビッグレースです。そのリーダージャージのマリア・ローザ(ツール・ド・フランスでいうところのマイヨ・ジョーヌ)がピンク色ですので。

こんなタイトルにしたのはナンバーガール「透明少女」をこの頃よく聴いていたせい。星野源アジアンカンフージェネレーションもカヴァーしていたのね。名曲よな。

 

イタリアという国は非常に面白い。かつてのサッカーブラジル代表を指した言葉に“バグンサ・オルガニザータ(混沌と秩序)”というのがあるが、これはそのままイタリアにも当てはまるんじゃないかって思います。カトリックの総本山、シチリア島という一地方の暴力組織でありながら組織犯罪集団の代名詞になったマフィア。

古くはローマ帝国、後にもヴェネツィアフィレンツェのような強力な都市国家を生み出したかと思えば、近世ではひたすら諸外国に蹂躙されるばかり。とにかくイタリアにはいろいろな顔がありすぎる。

架空のイタリアを描いた物語ではありますが、相田裕GUNSLINGER GIRL』も好きですよ。マンガ好きなら一度はぜひ。

気になるあの子は第五列

タイトルに深い意味はない。浅い意味さえない。

最近、下斗米伸夫『ソビエト連邦史』を読んでおりますが、そこで頻出する語句がこの第五列。要はスパイ、対敵協力者のことですね。元々はスペイン内戦で反政府側によって使われたのが始まりだとか。第五列なる響きは中二的パワーワードって感じがしますねー。

 

ソビエト連邦の歴史って、20世紀の主役といっていい国にもかかわらず案外知られていないんじゃないでしょうか。それは多分に情報公開が厳しく制限されていたからなのでしょうけども。

まあ、「同志の敵は同志」って展開が延々と続いていくわけで。読んでいて麻痺してくるほどに。

 

ここで話は明後日の方向に飛ぶ。

よのっしーなるゆるキャラをご存じだろうか。2001年、さいたま市に合併された旧与野市非公認のゆるキャラです。与野解放戦線を立ち上げたよのっしーの存在を知ったのは、バックドロップシンデレラの「市長復活~さいたま市ヨリ与野市ヲ解放セヨ~」を経由してですね。

もしTwitterを始めたらよのっしーは間違いなくフォローする。あいつの固定ツイート「(ゆるキャラグランプリに)勝とうと思えば勝てた」の破壊力よ。

同志よのっしーに栄光あれ!

ピアノマン

話題としてはちょっと遅れていますが、今回の本屋大賞を受賞した作品は恩田陸蜜蜂と遠雷』でした。ちなみに前回が宮下奈都『羊と鋼の森』、どちらも未読ではありますがまずタイトルがいいですよね。淡々としていながらリリカルな。

 

蜜蜂と遠雷』の主人公はピアニスト、『羊と鋼の森』は調律師と違いはあるものの、いずれにも共通するのはピアノです。

こちらはノンフィクションですがT・E・カーハート『パリ左岸のピアノ工房』が非常に素晴らしかったのもあり、音楽を題材とした作品にはどうしても大きく期待をかけてしまいます。新川直司四月は君の嘘』も好きですとも。

 

で、タイトルの“ピアノマン”を思い出した。イギリスの浜辺で倒れていたスーツ姿の男性が記憶喪失でありながらも見事なピアノ演奏を披露した、というあれですね。

いつ頃だったっけ、と思って調べてみたら2005年。もうそんなになるのか。

そしてその後の話を知ってがっかり。お芝居的な嘘をつくにしても、せめてピアノを弾けないと成り立たないんじゃない?

裏切り者から再び英雄へ

プロ野球が開幕して二週間、広島カープは今年も好調なようですね。特別どのチームのファンというわけでもありませんが、今はもう引退されている前田智徳モデルのバットを持っているのもあってカープの調子は気になります。

なかでも昨年セ・リーグ優勝の立役者だった新井貴浩、燃え尽きてしまったんじゃないかと心配しておりましたけどまったくの杞憂だったようです。凄い選手だ。

 

2016年は「裏切り者が許された年」である、と私は考えています。広島カープ新井貴浩、そして海の向こうのNBAクリーブランド・キャバリアーズに帰ってきたキングことレブロン・ジェームス。二人が出ていったときはそりゃもう叩かれていました。レブロンなんかユニフォームをファンに燃やされていましたし。本人にしてみたらあの光景は辛すぎる。

けれども一度は離れたチームに戻ってきた彼らは、獅子奮迅の働きによってそれぞれチームを優勝に導いたわけですから。広島は惜しくも日本一には届きませんでしたが、キャブスは球団史上初となるファイナル制覇まで成し遂げたのです。

新井とレブロンの共通項はこれだけじゃない。二人の出身地はそれぞれ広島とオハイオ、つまりチームの本拠地ですからね。それゆえファンの愛憎も並大抵のものではなかったのでしょう。

そんな出来過ぎの物語のようだった2016年は終わった。2017年、NBAはもうすぐプレーオフに突入します。キャブスが王座を守るか、ウォリアーズが奪還するか、それともスパーズやセルティックスが来るか。

 

とりあえず、レブロンが両手を広げた巨大バナーは格好よすぎる。生で見たいねえ。

もちろん新井のバット投げも最高だ。絵になる男たちですよ。

地方都市より愛をこめて

一時期、趣味:タワレコみたいになっていたことがありました。仕事帰りにタワレコへ寄り、まだ自分の知らないバンドを試聴機でチェックしまくっていたのです。

ちなみにその店舗は岡崎体育「FRIENDS」のMVで出てくるところですね。ぬいぐるみと“バンドざまーみろ!”の歌。あの軽快さがたまらん。

 

今は大都市圏を離れて地方住まいなのでそういった大型CDショップが身近になく、すっかり足も遠のいているのですが、それ以上にほとんど同じことをネットでできてしまえるのが大きい。YouTubeの「あなたへのおすすめ」なんかもありがたい機能だし。

でも、きっと狂ったように音楽を聴き続けてきた店員による、まるで檄文のごとき熱情ほとばしるPOPは好きなんですよ。「これを聴かずに何を聴く!」みたいに言われたらそりゃ心も動く。あくまで傾向を判断してフラットに勧めてくる「あなたへのおすすめ」とはまったくスタンスが違う。その偏りがいい。

偏りは言いかえればセンス。音楽も本も服も、巷に溢れかえっているだけにセレクトする人間の感性がより重要となっています。まだ何者でもないものへ光を当てていくのならなおさらです。

 

リーガルリリー「リッケンバッカー」を聴いてそんなことをぼんやりと思いました。ボーカルの声、あれは天与の才能でしょう。心を鷲掴みにされたもの。